技能実習生の問題

受け入れの問題

2017年11月に外国人技能実習制度に付け加えられた、介護分野。しかしその位置付けは、政府でも揺れているのが現状のようです。
技能実習制度は、「しっかりと技能移転という目的を理解し、それに沿った運用をする。その結果、実習生たちには貴重な戦力として介護現場で役立ってもらう」のが、理想。しかし実際問題、介護業界の人手不足は解決策が見つかっていません。安直な利用は慎みつつも、実習生頼みで人員配置している事業所もあるかもしれません。
また政府は、2019年に最長5年間の技能実習を修了した外国人が、さらに最長で5年間就労できる在留資格「特定技能」という在留資格を設定しました。これは、介護、農業、建設などの分野で試験に合格すれば、より長く日本国内で働くことができる制度です。
つまり、外国人技能実習制度は技術移転というよりも人手不足への対応策として活用される可能性が高くなっており、ますます受け入れの問題が出てきやすい状態になっているということです。

受け入れる側も努力が必要

少子高齢化の日本。人手不足は介護の現場でも深刻です。その状況下で「日本人がダメならば、外国人技能実習制度を使って海外の人に来てもらえないい」と考える経営者もいるでしょう。しかし、介護に先立って実習生を受け入れた他業種で受け入れの問題が発生しているのを忘れてはいけません。
技能実習生は都合の良い使い捨て労働者ではありません。日本で技術を習得し、いつかは母国に帰ってその技術を伝える夢を持つ人々です。実習生への対応いかんによっては、日本や日本人に対する悪感情を植え付ける可能性だけではなく、彼らの母国との関係性まで悪くなってしまう可能性もあります。
また、外国人技能実習制度自体は1993年からあるものの、介護分野にまで対象が広げられたのは2017年です。実際上の運用はまだ手探り段階なのです。つまり、技能実習生を受け入れれば即問題が解決するのではなく、受け入れる側も試行錯誤してよりよい関係になるよう努力がいるということです。

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